結婚ってやっぱり当人だけの問題じゃすみません。婚姻関係が成立すると配偶者側の親戚もぜ〜んぶ自分の親戚になっちゃうってことで、そんでもってネパールってやたらと親戚付き合いがディープな国で。
親戚付き合いを制する者が、ネパール人との国際結婚を制する、そう断言したくなるくらい、大変で大切な親戚付き合いなのです。
ネパールの親戚付き合いは、広く、そして深い

結婚式の披露宴に200人の親戚を呼ぶのなんてざらにあるくらい親戚付き合いが盛んなネパール。
紹介する時に「僕の姉です」とか「僕の弟です」と言われたからといって、本当の兄弟じゃないってこと、ネパールでは多いのです。
もちろん、嘘をついているわけじゃなく、いとこもほとんど兄弟扱い、それくらいネパールの親戚付き合いは濃いってことです。
うちの主人は村の出身なのですが、現在は首都であるカトマンズに住んでいます。だから、親戚が用事でカトマンズに出てくると、うちが宿泊所になってしまいます。
仕事から戻ってみると、毎日知らない顔が家にいる、そんな感じです。
その人たちがお酒好きだったりすると最悪で、毎日、夕食の前に、おつまみまでつくらなければならず、さらに、夜遅くまでうるさいし(酔っ払いとはうるさいものですよね)…。
その親戚だって、日本だと親戚というかどうか、主人の妹の嫁ぎ先のお姑さんのお姉さんの娘のご主人のお父さんとか…。これだけディープな親戚付き合い、外国人にとってはかなり大きなストレスです。
姪っ子が頼り、名前と顔と関係が覚えられない

ネパールでは、呼称として、個人の名前はあまり使われません。呼ぶ時は自分との関係で呼びます。
例えば、例えば私は村の家では「カンチブワリ(末っ子の嫁)」と呼ばれます。自分の兄のお嫁さんのことは、「バウジュ(兄嫁)」、自分の姉の旦那さんのことは「ジェタジュ(義兄さん)」。名前よりも、自分との親戚関係が大事なのです。
ネパールの人間関係は基本、年功序列で、目上の人を敬う文化なんですが、この年功序列、親戚間においては、年齢ではなく、親戚関係が上か下かで決まります。
兄弟が多いネパールでは、年下の叔父さんとかあり得るわけですから。
しかし、 結婚当初、あまりにも多すぎる親戚の名前と顔と関係が覚えられず、苦労しました。目下の者からあいさつするのがうちの村では礼儀なんですが、誰が目上で誰が目下か私にはわかりません。
当時、一緒に住んでいた姪っ子には本当に助けられました。キッチンでこっそり、あれは誰、これは誰と教えてもらったので、なんとか切り抜けることができたのですから。
1人の稼ぎに10人がぶらさがるネパール親戚事情
それにしても、濃厚な親戚付き合いのネパール、親戚がうちに泊まりに来るくらいなら、まあ、我慢もできます。でもお金の面倒まで見なければならないとなると話は別です。
夕方近所の飲み屋でお酒飲んじゃって、帰りのバス代を借りて行った人もいますし、病院にかかって、治療費が払えず、うちの主人が全部立て替えたり、出稼ぎ斡旋の人材派遣会社に手数料が払えなくてうちの主人から借金していく人も何人もいました。
配偶者が日本人の私だから、お金があると思われている節はあります。まだまだ国内での就職が難しいネパール、家族の中で一番稼いでいる人にみんなが頼る傾向は強いのです。
なんのかんの言って、ネパール人は優しいなあと思います。そうやって頼ってくる親戚にぶつくさ言いながらも、最終的には、見捨てることはまずないですものね。
そういうネパールのディープな親戚付き合いは、外国人にとっては重すぎる時もあります。でも、反面、家族の絆、親戚の絆は強く、困った時はお互い様の温かい人間関係が今でも残っていて、それはいいことだなあと思うのです。
(ネパール在住Cさん:ネパール人のご主人と高校生のハーフの女の子がいる海外在住ライター)
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