「ネパール人の彼と国際結婚しようと思っているので、話を聞かせてください」と、何回か相談されたこともあります。正直、大変ですよ、って前置きします。もちろん本人の自由だし、国際結婚している私があれこれ言うのも変なんですが、ネパール人との国際結婚先輩として、ささやかなアドバイスをお送りします。
熱愛時代だから決断できる、恋の勘違いの力

もしあなたが、「ネパール人は優しい」とか「ネパール人は素朴でいい人だ」と思って結婚や移住を決意しようとしているのであれば、やめた方がいいかもしれません。
ネパール人だって、同じ人間です。優しい人ばかり、いい人ばかりなわけがないのです。日本人だって、いい人もいれば、嫌な人もいる。ネパール人だって、同じで、いい人もいるし、嫌な人もいるのです。
それがネパールに恋している状態の時は、いい人ばかりに見えるし、人とのふれあいのある暮らしが魅力的に見えるものです。
でも恋が冷めてしまえば、ずうずうしくて馴れ馴れしくて、依存症の人が多く、体面を気にしてばかりの人づきあいにうんざりしたりもするのです。
自分だけは違う、みんなそう思うのですが、たいていの人はこの道のりを辿ります。
が、逆に言えば、恋の熱に浮かされているような状態だからこそ、結婚したり、移住したりできるのかもしれません。ま、そんなことは国際結婚に限りませんが。
日本企業はないと思って、自分で仕事を創出せよ

結婚は勢いでできちゃったりしますが、移住にはビザも仕事も必要です。相手の国に住もうと思ったら、経済的な基盤を確立せねばなりません。ネパールのように学校の先生の月給が一万円というような国の場合、その給料で日本人が耐えられるような生活水準を維持することはまず無理。
結婚相手がお金持ちでお抱え運転手がいるような暮らしができるのであれば問題ないのですが、なかなかそういうわけにもいきません。お湯のシャワーが出る暮らしがしたいし、時には外食もしたい、たまには日本に帰省もしたいとなると、自分で稼ぐしかないわけですが、外人が労働許可を取るのも難しく、ネパール人が職にあぶれ海外に出稼ぎに行くような就職難の状況です。
タイやインドのように日本企業もないとなると、これはもう自分で仕事を創出するしかないわけで、起業してやるくらいのバイタリティか、臨機応変フリーランスでやっていけるしなやかさと強さが必要になってきます。
自分の気持ちいい距離感をいかにキープできるか

最後にしたいアドバイスは、 距離感について考えよということです。ネパール人の人づきあいの距離感は日本人にとっては、かなり近いのです。プライバシーを侵害されたと感じる人もいるかもしれません。ネパールに長く住もうと思ったら、自分の気持ちいい距離感をキープすることが大事です。
そして、それは人づきあい、親戚付き合いに限らず、ネパールの文化との距離感についても同じことが言えると思います。
どこまでネパールの文化を受け入れるのか、どこまでできて、どこからができないのか、自分の気持ちいい距離感というのは、同じ日本人でも人によって違います。だから、自分の気持ちいい距離感をまず知ること、そして、その距離感を上手にキープしていくこと。
それができれば、不必要な摩擦を生むことなく、ストレスも少なくすみます。外国に住むというのは、外国を旅行することとは違います。気持ち良く過ごせる状況を自分で作り出せるかどうか、それが国際結婚を長続きさせるためにも、外国にすみ続けるためにも必要なことだと思います。
私自身、それがうまくできているかと言われれば、そのことにやっと最近思い至ったばかり。簡単ではないけれど、柔軟に伸びやかに生きていきたいものだと思っています。
(ネパール在住Cさん:ネパール人のご主人と高校生のハーフの女の子がいる海外在住ライター)
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